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[C201]

喧嘩するほど仲が良い、という仲ですね、この2人。

ザフィを風呂に入れる話の追掛けっ子をアギトを交えてしてみると、驚くほどのコンビネーションを発揮するのでしょうか?

[C206]

>??さん
ザフィに火の輪くぐりくらいはやらせていたかもしれませんね。
炎と氷でばっちり相殺し合って、ザフィそっちのけで喧嘩する可能性も否定できませんが――

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守護獣ザフィーラの日常 Sts (10)

「あ、こっちこっち!」「ですぅ!」
 時空管理局の訓練室の扉を開けた瞬間、少女たちの声が室内に響き、二対の視線がこちらを向く。
 愛らしいと表現する他ない二人の笑顔。しかし、そこには妙に不穏な空気が流れている気がして、私、盾の守護獣ことヴォルケンリッター、ザフィーラは、一歩後ずさった。
「唐突の呼び出し、済まんな。少し付き合ってくれるか」
 守護騎士の将であるシグナムが、ため息まじりに話しかけてくる。事情を聞こうと口を開く前に、人形サイズの女の子たちが、いがみ合いを始めた。
「もう後戻りはきかないからな、バッテンチビ。甘ちゃんのお前に、融合騎の戦い方ってやつを見せてやるよ」
 挑発気味に声をあげているのは、妖精のような風貌の少女、アギト。ごく最近、我々八神家の一員となった女の子である。
「そっちこそ、泣きべそかいても知らないのです!」
 一方、おっとりした優しげな顔を精一杯に怒らせて、すごんでいるのは、守護騎士の末っ子である少女、リインフォースⅡ。
 二人はユニゾンデバイスと呼ばれる存在で、術者と一時的に融合することで、その間術者の魔力を向上させることができる。言ってしまえば、周囲の誰よりも近しい存在である。
 にもかかわらず――いや、だからこそ、というべきなのだろうか。彼女たちは、常日頃から小競り合いをしていた。
 今日もご多分にもれず、喧嘩をしているようだ。まあ、言い合っている姿をはたから見ると、特に険悪な雰囲気でもなく、むしろ微笑ましいくらいなのだが――
「と、いうわけでっ!頑張りましょうザフィーラ!」
 どうも、今回はいつもと様子が異なるようだ
 私に向かってガッツポーズをしてみせるリインを無言で見た後、シグナムに視線を移す。将は肩をすくめて首を振り、アギトが代わりとばかりに口を開いた。
「何、なんてことないよ。ただ、あたしたちと模擬戦をしてくれればいいだけ。まあ、ちょっと痛い思いをするかもだけど、勘弁な」
「その台詞は、貴女のロードに言ってあげるべきなのですよ、アギト!」
 アギトはリインの台詞を鼻で笑って、シグナムを振り返る。彼女がうなずくのを確認して、妖精姿の少女は軽やかに宙を舞った。
「じゃあ、始めるぞ――ユニゾン・イン!」
 シグナムの体に、アギトが溶け込むように入り込む。
 魔力の光が溢れ、騎士甲冑が輝く。
 「烈火の将」の名が示す通り、激しい熱気が空気を震わせる。炎の翼を背負うその姿は、この世のものならぬ火の化身にすら感じられる。
 彼女の手のレヴァンティンが空を薙ぎ、自らの存在を強調するかのように炎を噴き出した。
「さ、私たちもですよ、ザフィーラ」
「――ああ」
 事の経緯がはっきりとしないが、ともかく戦闘は回避できそうにない。ならば、せいぜい怪我をしないように戦うしかなさそうだ。
 私は人型になり、リインを体の内に受け入れる。
 彼女の清廉な魔力を、自らの魔力と同調させ、全身にいきわたらせる。
 自身の神経が空間に溶け込むかのような、研ぎ澄まされた感覚。
 ユニゾンを済ませた私たちは、宙に浮く烈火の将を見据えた。
『先手、必勝!』
 シグナムの周囲を複数の火炎球が覆い、それらが一斉に打ち出される。
 私は咆哮をあげながらそれらを弾く。
 次の瞬間、眼前に迫ったレヴァンティンが空を切り裂きながら迫り、私はそれを横っとびに避けた。
「むんっ!」
 私の意志に応じて、床から鎖が幾条にも伸びあがり、将に襲いかかる。
 避けようとした彼女は、しかし回りを見渡して息を漏らした。
 30強にもおよぶ、氷の短剣。
 牢獄のように張り巡らされたそれらは、シグナムたちを無言で威嚇し、行動を制限する。
 魔力の鎖は、将のブーツを貫こうと迫り――
『なめるなっ!』
 ふくれあがるように彼女の体から噴き出した炎が、氷の短剣を弾き、紙一重で私の鎖を回避した。
(――大したものだ。そうは思わないか?アギト)
 思考に流れ込んできたその声に、私は眼をまたたかせる。一瞬の動揺がリインに伝わったらしく、いぶかしげな心の波が感じられる。だが、シグナムの声に気付いてはいないようだった。
(知ってるよ、そんなの。ザフィーラの兄貴は、はやてのねーちゃんをずっと護ってきたんだし――)
 続いて、アギトの声。間合いを離した私を、将は追撃しない。緩まった熱気に、私は息継ぎをするように深呼吸した。
 足を止めて剣を構えなおすシグナムを、同じように留まって観察する。彼女の整った唇がかすかに斜めになるのを、私は見逃さなかった。
(あいつだって、初めて向き合った、あの時から――肝の据わった奴だってことくらい、分かってる)
 私たちは円を描くように、部屋の中を移動する。様子見だと、アギトやリインは思っているだろう。
(だけどさ、なんていうか、鼻につくんだ。あいつが、融合騎とか、守護騎士とか――自分の立場を当然だって思ってるのが。ああ、なんか違うな)
 戦いの緊張に包まれたまま、アギトの独白が続く。自分の気持ちの整理に四苦八苦しているようだった。彼女の姿が見えたなら、きっと頭を抱えているに違いない。
(くそ、上手く言えないよ。だけどむかつくんだ)
 ともすれば言いがかりともとられかねない、根拠のあいまいな言葉。
 しかし、シグナムと私は、分からないと首を傾げることも――無論、アギトの表現の不足を笑うこともしない。
 彼女の今までを想像すると、たどたどしいその言葉の真意が、よく伝わってくる気がしたからだ。
 家族がいる。友がいる。
 それが本当はとても尊いもので、リインはそれを「知って」いても、「実感して」はいない。アギトには、そういう風にリインが見えるのだろう。
 あるいは、私たちに対してさえ、アギトは思うところがあるのかもしれない。
 恵まれた環境に感謝をしないなど、何事だ、と。
 彼女の感情を、嫉妬だと言って切り捨てることはたやすい。しかし、身につまされるものが、そこには確かにあった。
 不思議なものだ。
 もともと、我々も持ち合わせていなかったものなのに。
 いつしか、主がいることを――かけがえのない時間や空間を、当たり前だと思うようになっている。
(ただでさえ、あたしたちは、死と背中合わせの職場なんだぞ。もっと、いつだって、自分がみんなを護る気持ちでいなきゃ、ダメだろ)
 正に守護騎士と呼ぶにふさわしいその台詞に、私は知らず、唇を緩めていた。
(リイン、お前は、アギトのことが嫌いか?)
 私は、思念通話のチャンネルを調整して、リインに話しかける。片眉をあげるシグナムを、私は無表情に見返した。
(好きで嫌いです!)
 間髪入れずに返ってきた返答は、何とも矛盾した、分かりづらいものだった。
 続けて吐露される彼女の気持ちに、私たちは黙って耳を傾ける。
(いっつも意地悪するし、シグナムにべったりだし!今日だって、「お前はロードたちのことを満足に戦わせられてない」なんて失礼なこと言うんですよ!)
 私たちは、リインがこの世に生を受けて、どれだけ努力をしてきたか、知っている。
 自らの主と、そして自らと同じ名をもつ少女を敬愛し、「祝福の風」の名に恥じないよう努めてきたことを、分かっている。
 だから、自分の存在に誇りを持っている彼女が、アギトの言葉に怒りを感じるのも自然なことだと思った。
 だが、リインは、自分の言葉を、すぐさまひっくり返す。
(ですけどっ、他の人のために泣いたあの子を――本気で嫌えるわけ、ないじゃないですかっ!)
 怒りと、憐憫と、悲しみと。一言では表せない気持ちが、同調した私の心を駆け巡る。
 シグナムが、リインの言葉に、わずかに目を伏せた。
(アギトが、私に何か伝えたいのは知ってるんです。だけど、私にはそれが何なのか、よくわからないです)
 沈んだ口調で言った後、彼女は私の中で握り拳を振り上げた。
(だから、分かるまでっ!アギトとは、とことんやりあってやろうと思っているのです!)
「――やれやれ、だな」
 そう呟いたのは、はたしてシグナムだったのか、それとも私だったのか。
 口下手で不器用なのは、守護騎士たちの宿命なのかもしれない。
 実に、可愛らしいすれ違いではないか。
 私は仲裁を試みようと口を開き――
「ぅどうわっ!?」
 牙をむいたレヴァンティンの一撃を、転がってよけた。
(シグナム、待て!まずはもう一度話し合いをだな――)
(目が、拳が、時として言葉よりも語るときがある。そうだろう?)
 自分の顔面が勝手に切なげに歪んでいくのを、私は自覚する。
 言葉にせねば譲れるものも云々と、会話の重要性を説いたことがなかったか、シグナム……
「手の内を知り尽くした仲だ、加減はできん――お前も全力で来い!」
 言いながら、シグナムは手から巨大な火炎を生みだす。
「うぬおうああああああ!!」
 私は裏返った声で魔力障壁を展開し、ソレを防いだ。
 それでいいのか、シグナム?本当はお前が戦いたいだけではないのか!?
 私の切なる想いは、しかし言葉にはならず、虚しく宙を漂う。
「さあ、行くぞ!心ゆくまで!」
『おうよ!烈火の剣精アギト!我がロード、守護騎士の将シグナムと共に、いざ参る!』
(ザフィーラ!心を乱してはいけないのです!ユニゾンが十分に出来ないですよ!)
 理不尽だ。
 一人、場の空気に取り残された私は。
 言葉にならぬもやもやとした思いを抱えたまま、私は灼熱の光球をかわし、紅蓮の剣を受け、必死に戦い続けた。

    *

「……もう!」
 シャマルは我々の姿を見て絶句したのち、一言不満のつぶやきを漏らしてから治療にうつった。
 無理もない。身内が火傷やら凍傷やらと分かりやすい喧嘩の跡を体中につけて、職場に駆けこんできたのだから。
「喧嘩をするなとは言わないわ。で・も。時と場所、それと手段を選びなさいっ」
「あ、いや、シャマルのねーちゃん、一応あたしたちも訓練の一環で――」
 にっこりと笑う金髪の女性の視線に射すくめられて、アギトはその場に凍りつく。あるいはリインの魔法よりも効果てきめんだったかもしれない。
 小さな少女二人はユニゾンしたかのように同時にうつむいた。隣のライバルの動作に気づいたか、お互いを見て、磁石の同極のようにそっぽを向く。
(まだまだ、こんなもんじゃないからな、バッテン――じゃない、リイン)
(っ――言うまでもないですよ、アギト!)
 その念話を拾った私は、同じく話を聞いていたらしいシグナムと顔を見合せて、示し合わせたように苦笑した。
「何を笑ってるの、二人ともっ?身内を叱るのも、家族の役目でしょ!?」
「あ、いや、それはだな――」
「問答無用!こんなにたくさん心配させる皆には、シャマル先生のお説教ですっ!」
 彼女の長時間の話が、その日一番ダメージが大きかったというのが、我々の一致する意見だった。
 教訓。どんな人物でも、怒るときは怒る――ではなく、普段怒らない人の方が、いざという時に怖い――という意味でもなく……
 何だ、その。
 ものを伝えるのは、大切で、同時に難しい、というお話。
「きっちり、反省してもらいますからね!」
 ――ごめんなさい。






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鳳 珠志

Author:鳳 珠志

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INDEX

ごあいさつ
ことの葉インフォメーション
■長編
 ・魔法少女リリカルなのは -PS-
   第1話 (1) (2)
   第2話 (1) (2)
   第3話 (1) (2)
   第4話 (1) (2)
   第5話 (1) (2)
   第6話 (1) (2)
   第7話 (1) (2)
   第8話 EP
 ・白雪の舞う空
  (1) (2)

■短編
 ・桜の咲く季節
 ・少年少女の主張
  (1) (2) (3) (4)
 ・守護獣ザフィーラの日常
  (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
  (11) (12) (13) (14) (15)
  (16) (17) (18) (19) (20)
  (21) (22) (23) (24)
 ・守護獣ザフィーラの日常 Sts
  (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
  (11) (12) (13)
 ・守護獣ザフィーラの任務
  (1)
 ・打ち上げ花火
 ・あの子になりきり!
 ・リーダーへの道
 ・あだなをよばせて
 ・深夜のたたかい
 ・サンタの住む場所 - 23日 -
 ・サンタの住む場所 - 24日 -
 ・サンタの住む場所 - 25日 -
 ・芸術の新春
 ・決戦前の共闘
 ・なのラジ - ことの葉放送局 -
  (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
  (11)
 ・大人への距離
 ・雨とぬくもり
 ・感謝をあなたに
 ・琥珀色の安らぎ
 ・その手は小さくとも
 ・マーメイド宣言
 ・ある夏のひまわり
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