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[C194]

>草木も眠る丑三つ時

シャマルさんが白装束で2つの蝋燭を角のように装着して、呪・・・な光景が何故か、脳裏をよぎってしまった。

[C195]

>??さん
何故かシャマルさんなんですね(笑)。
シャマル「私はしっかりとサンタクロースな格好でしたよ?」

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サンタの住む場所 - 25日 -

 草木も眠る丑三つ時――とは、きっと昔のことなのだろうな。
 盾の守護獣ザフィーラは、そんなことをとりとめもなく考えながら、リビングの時計を見つめていた。
 現在時刻、午前一時。草木が寝るには間があるが、普段の一般家庭は十分に眠りについている時間である。しかし今日はクリスマス。むしろ、まだどの家庭も眠りについていない頃合いなのかもしれない。
 一番の理由は、一年の内でこの日だけ、皆が寝静まった頃に活動する人々が、この地球のそこら中で存在するからである。
 ザフィーラもそういった人種の一人で、さらに言えば八神家の人物はほぼ全員がそうだった。
(こっちはもう大丈夫だ。そっちの準備はいいか?)
(ああ。万端だ)
 唐突に流れるヴィータの念に、シグナムが応える。守護騎士の将はシャマルとザフィーラに向き直り、互いに頷き合う。
 そして、彼らは行動を開始した。
 抜き足、差し足。
 事情を知らぬ者が見たらいかにも怪しい集団ではあるが、彼らはもちろん何か狼藉を働こうというわけではない。
 シグナムが抱えている包みを、主の元に届ける。それも主には気付かれないように。
 それが、彼ら守護騎士のミッションだった。
 ただ秘密裏に置くのであれば、シャマルの転移魔法を使えば造作もないことだろう。しかしそれでは意味が薄れる。この世界の風習通り、サンタクロースとしてプレゼントを贈ろうと、彼らは慣れない隠密行動を試みていた。
(しかし――サンタクロースというのは、目立つ格好をしているのだな)
 シグナムは、誰に話しかけるでもなく念で呟く。ザフィーラとしても同感だった。暗闇の中で活動をするのであれば、やはり黒の服がふさわしいだろう。だが、サンタクロース――つまり、今のシグナムやシャマルの服装は、黒に比べれば明らかに目をひいてしまう。
(まあ、目立たない格好だと泥棒さんみたいだし、ね)
 あるいは、シャマルが苦笑交じりに言ったその台詞が、的を射ているのかもしれない。仮に子供が目を覚ました時、黒ずくめの人物が枕元にいたら、パニックが起こることは想像に難くなかった。
 シグナムがドアノブを握り、そっと開ける。カチャリ、という金属音が必要以上に響いて全員がすくんだが、部屋の中では何の変化もない。ため息をつきながら、彼らは中に忍び込んだ。
 ベッドに向かって、ゆっくりと近づく。そこには、二人の少女が抱き合うような恰好で寝ており、更にその間に入り込むように、小さな少女が寝ていた。
 朱色の髪の少女が目を開け、身動きはせずにザフィーラたちを見上げる。
(御苦労だった、ヴィータ)
(おう。あたしはこの通り動けねーから、後は頼む)
 シグナムのねぎらいに、ベッドの上の少女が念だけでこたえる。シャマルが少女たちを見て、柔らかに微笑んだ。
(リインちゃんは寝ちゃったかしら)
(途中まで頑張ってたんだけどな……まあ、仕方がねぇ)
 ヴィータの言葉に、彼らは揃って頷く。リインフォースⅡはこの世に生を受けて日が浅く、睡眠時間が長い。深夜まで起きているのは拷問のようなものだろう。
「んぅー。はやてちゃあん……」
(!?$#?)
 リインが口を開いて身じろぎする。守護騎士たちは一斉に硬直した。
(まずい、主殿が起きかねん!)
(シャマル、リインを転移させろ!)
(えっとえっと、どこに!?居間?ザフィーラの口の中!?)
 念話で騒動を起こすヴォルケンリッターをよそに、ベッドで寝ているもう一人の少女、夜天の主である八神はやてが、リインに手を伸ばし、胸に抱える。リインは安心したように、寝息をたて始めた。
 彼らは顔を見合わせた後、主の顔を覗き込む。表情は穏やかで、起きる気配は見受けられない。
(助かった、のかしら?)
(そうみたいだな。今のうちに済ませよう)
 シグナムが、机の上に包みを置く。ベッドにかけられている靴下に入れられればその方がいいのだろうが、残念ながら、プレゼントが靴下に入る大きさではなかった。
「メリークリスマス」
 ヴォルケンリッターは、小さく囁くような声で、その言葉を口にする。はやての耳にはきっと届いていないだろうが、儀式のようなものだ。
(よし、戻るぞ)
(あ、待て。そういえば、机の上にはやてがクッキーを置いてたぜ)
 ヴィータの言葉に従うようにシャマルが何かを手に取り、シグナムとザフィーラはそれを見る。皿の上に、クッキーが五つ置かれていた。
(確か――サンタクロースはこれを食べていく習わしだったか)
(ああ。主殿がそう言っていた)
 彼らはクッキーを手にとる。この場で食べると音が漏れそうだったので、彼らは部屋の外まで持ち出すことにした。
(はい、ザフィーラ。あーんして)
(……今ここで口に入れなくてもいいだろう)
(一人一枚。各自で持ち出した方が、何となくいいでしょう?ヴィータちゃんとリインちゃんの分は置いておくわ。朝食べてね)
(分かった)
 シャマルは、皿を机の上に戻そうとする。
(――あら?)
 そこで、彼女は首を傾げながら、皿から何かをつまんだ。
(どうした、シャマル)
 振り返ったシグナムの念に答えず、シャマルはつまんだものを自らの眼前で広げる。
 それは、一枚の紙で、何かしらの文字が書かれていた。

    *

 翌朝。
 ザフィーラが普段通りにリビングで寝そべっていると、はやてが上機嫌な顔で姿を見せた。
「おはようさんや、ザフィーラ」
「おはようございます、主殿」
 いつもと同じ、朝の挨拶。しかし二人は、格好が少しだけ日常と違っている。はやては、わずかにはにかんだ笑顔で口を開いた。
「これ、ありがとうな。とってもあったかいよ」
 彼女は、自分の首元を指差す。そこにはマフラーが巻かれており、柔らかな色調がはやての雰囲気によく似合っている、とザフィーラは思った。
「いえ。私たちも、感謝の言葉もありません」
 ザフィーラの言葉に、少女は彼の首筋を――正しくは、彼の首にあるものをなでた。
 実を言えば、主同様に彼もマフラーを巻いている。
 黒基調のシンプルで落ち着いたデザイン。手編みと思われるそれは、巻いていると心が安らいだ。
「ふふ。おそろいやな。長さも丁度よさそうで安心や」
 はやては、嬉しそうに笑う。対してザフィーラの方は、喜びを感じると同時に恐縮していた。
 マフラーをひとつ編み上げるのに、どれほどの時間がかかるのだろう。
 それを全員分――五人分だ。想像するだけでも目がくらむ。
 守護騎士たちからすれば、ただただ感謝をする他なかった。
「大切にします」
 あれこれと考えて絞り出した、彼なりのお礼。
 たった一言の、変哲のない言葉。
 それでも、主は、彼の気持ちを察した様子で――
「うん――私もや」
 はやては彼の台詞に目を細め、優しく、かみしめるように、返事をした。
 ザフィーラは、昨日の置き手紙の文面を思い出す。
 代表してシャマルが預かったその手紙は、きっと永く大切に保管されることだろう。

『私の机の、一番下の引き出しを開けてな。
 皆へのプレゼントやから、もらい忘れたらあかんよ?

 Merry X’mas 夜天のサンタクロースより』






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シャマルさんが白装束で2つの蝋燭を角のように装着して、呪・・・な光景が何故か、脳裏をよぎってしまった。

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Author:鳳 珠志

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■長編
 ・魔法少女リリカルなのは -PS-
   第1話 (1) (2)
   第2話 (1) (2)
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   第4話 (1) (2)
   第5話 (1) (2)
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   第7話 (1) (2)
   第8話 EP
 ・白雪の舞う空
  (1) (2)

■短編
 ・桜の咲く季節
 ・少年少女の主張
  (1) (2) (3) (4)
 ・守護獣ザフィーラの日常
  (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
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  (1)
 ・打ち上げ花火
 ・あの子になりきり!
 ・リーダーへの道
 ・あだなをよばせて
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